令和6年度末(2025年3月31日現在)国の貸借対照表(一般会計・特別会計)
| 借方:資産の部(左側) | 金額(兆円) | 貸方:負債・差額の部(右側) | 金額(兆円) |
| 現金・預金 | 55.2 | 公債(国債) | 1,184.5 |
| 有価証券(外国債券など) | 139.7 | 公的年金預託金 | 139.8 |
| 貸付金(財政融資など) | 132.3 | 政府短期証券 | 77.2 |
| 運用寄託金(年金積立金など) | 118.1 | 借入金 | 27.2 |
| 有形固定資産(建物・土地など) | 199.1 | その他負債(引当金・未払金等) | 54.8 |
| (内訳:公共用財産 159.2) | |||
| (内訳:物品・その他 39.9) | |||
| 出資金 | 71.9 | ||
| その他資産(未収金等) | 67.2 | ||
| 【負債合計】 | 1,483.5 | ||
| 資産・負債差額(債務超過) | ▲ 700.0 | ||
| 【資産合計】 | 783.5 | 【負債・差額合計】 | 783.5 |
簿記の原則通り、左側の「資産合計(783.5兆円)」と、右側の「負債+差額の合計(1,483.5兆円 - 700.0兆円 = 783.5兆円)」が完全に一致(バランス)する構造になっています。
高橋先生の解説では、この「左側(借方)」にある有価証券(139.7兆円)や貸付金(132.3兆円)といった潤沢な金融資産の存在を無視して、右側(貸方)の公債(1,184.5兆円)だけを切り取って「大変だ」と煽るメディアのバイアスを見抜くために、この左右の対比が非常に重要な意味を持ちます。
令和8年3月31日現在(第141回事業年度末)日本銀行貸借対照表
| 借方:資産の部(左側) | 金額(兆円) | 貸方:負債・純資産の部(右側) | 金額(兆円) |
| 国債 | 612.4 | 預金(当座預金) | 545.2 |
| 貸出金 | 102.5 | 発行銀行券(お札) | 117.8 |
| 金銭の信託(ETF等) | 37.1 | 政府預金 | 10.9 |
| 外国為替 | 11.2 | その他負債 | 39.1 |
| その他資産 | 0.4 | ||
| 【負債の部 合計】 | 713.0 | ||
| 【純資産の部 合計】 | 50.0 | ||
| 【資産の部 合計】 | 763.0 | 【負債・純資産の部 合計】 | 763.0 |
💡 高橋先生の解説を読み解く、最大のキモ
- 日銀の国債保有は「612兆円」国の負債側にある国債(約1,184兆円)のうち、なんと半分以上の「612.4兆円」を子会社である日銀が持っています。統合政府の連結決算を行うと、この612兆円がまるまる相殺されて消滅します。
- 純資産の部が「50.0兆円」へと大幅に増加これまでの日銀の純資産(自己資本)は数兆円レベル(先ほどの第140回では5.9兆円)でしたが、金利上昇に備えた「債券取引損失引当金」などの各種引当金や準備金、評価益などが積み増され、純資産の部(負債以外の差額部分)が50兆円規模にまで膨らんでいます。これによって「日銀が金利上昇で債務超過になって倒産する」という財政破綻論者の主張がいかに的外れであるか、この右下の数字(50.0兆円のバッファ)が完璧に証明しています。
財務書は国の貸借対照表を公開している(54ページ)。国債を含む2024年度末の負債は1483兆円であり、資産合計は783兆円である。資産・負債差額が700兆円。これが政府の実質の負債額である。1483兆円の半分以下である。
国際的に認められた経済学的な分析では、政府会計を単独では見ず、中央銀行のBSを含めた統合政府の会計で評価する。国際通貨基金(IMF)も統合ベースで各国の財政状況を分析する。
55ページに日銀のBSがある。2024年度末の資産が763兆円。負債が713兆円。純資産が約50兆円。
実は負債に含まれている発行銀行券=日銀券(紙幣)と当座預金(市中銀行が日銀に預ける預金)は、事実上、無利子か極めて低い金利のため、経済上では負債とはみなされない。
発行銀行券は119兆円、当座預金は530兆円ある。あわせて649兆円。ここに、純資産50兆円を合わせると699兆円。政府の負債が700兆円だから、統合政府であれば、負債超過は1兆円となる。大した額ではない。
さらに、ここにBSには出てこない政府の資産、徴税権が加わる。政府が国民から税を徴収できる権利のことだが、この資産価値が約600兆円とされる。
これを加味すれば、統合政府の実質的なBSは資産599兆円という、極めて健全な財政といえるのだ。
以上引用文(高橋洋一著『財務省とマスコミに騙されない経済数字の読み方』である