量的緩和が通貨発行益で物価を押し上げるしくみ

さあ!第2章に入ろう。高橋洋一先生のご本を理解するための重要な段落だ。

量的緩和」とは、

金融政策にはお金の流れを金利の上下で調節する金融政策と、お金の量を調整して景気を回復させる量的緩和政策の2種類がある。この量的緩和だ。

中央銀行が供給する通貨の総額を「マネタリーベース」といい、世の中に出回っている貨幣、通貨と、民間金融機関が日銀にもっている当座預金の残高の合計である。中央銀行は世の中に出回っているお金の量を調節することができる。

通貨発行益」とは、

通貨を発行すれば国債発行と違って、現金と日銀当座預金に無利子で財政支出できたことになる。この金利を節約できた分を通貨発行益=シニョレッジという。

または、分かり易い表現を使えば、日銀券の発行と引き換えに、保有する有利子の資産(国債、貸出金等)で発生する利息収入のこと。

お金を中央銀行が出せば、

政府・中央銀行には通貨発行益が発生して、お金の超過供給になり、量的緩和をすれば必ず物価が上がる。

日銀は、紙幣を刷ることによって、長期的には発行価額の99.8%の発行差益(通貨発行益)を得ることができる。なにしろ、99.8%だから、事実上、通貨発行額にほぼ等しい利益を手にする。それを政府の税外収入(国庫納付金)にして政府支出に姿を変えて国民に移転する一つの手は、日銀に国債を引き受けさせることだ。日銀引き受けをすると、引き受け額の額面と同じだけ紙幣を刷ったのと同じことになる。

そして、この通貨発行益の大きさによって、予想インフレ率が高まる。どのような経路であっても、通貨発行益が経済の非マネー財(モノやサービス)の需要を押し上げるからだ。そして、それが実質金利の低下によって設備投資を促し、総需要を押し上げる。(以上は、明解金融講義「世界インフレ時代のお金の常識・非常識」高橋洋一先生著引用文)