ブロックチェーンが通貨と金融を変革する!

この言葉は野口悠紀雄先生の「インターネット時代に現金が必要」という実体験談の中で述べられている。書籍名は『ブロックチェーン革命』である。「「インターネットで情報は送れるが、経済価値は送れない」ということを嫌というほど悟らされた。ウェブでの支払いがクレジットカードで簡単にできてしまうことから、われわれはインターネットで簡単に送金できるという錯覚に陥っている。しかし、それはコストがかかることなのだ。もちろん、銀行にも情報革命の影響は及んでいる。しかし、その中心に鎮座しているのは、1970年代のメインフレーム・コンピューターだ。銀行業界は強い参入規制によって守られてきたので、効率化をするインセンティブがなかったのだ。この状態を根本から覆す技術革新が、いま始まろうとしているのである。それがブロックチェーン革命にほかならない。」と記されている。

わたしたちはこの金融革命の時代に身を置いていることの正しい認識を持とう!

「ビットコイン」は非常識ではなく、常識なのである。

現代経済システムを支配する重要な技術

「銀行業というシステムの真髄はバランスシート全体で資金の支払いと受け取りを一致させることにある。」

「銀行は長期の資産と短期の負債の資金ギャップを解消する。このように流動性リスクが管理されているから、銀行の債務はマネーになる。これはいまも銀行だけに許された領域だと考えられていた。何と言っても、主権者から特許状を与えられているのは銀行だけだし、信用をマネーに変えることができるのは主権者だけだ。そうだろう?」

以上の文章は『21世紀の貨幣論』に書かれている内容だ。

また、経済学とファイナンス理論の発展の歴史や「マネー」、「銀行業」、「金融」という社会的技術の捉え方が正統派と異端の系譜の本質的な違いを余すところなく伝えている。この変遷が「リーマンショック」の世界的金融危機に繋がり、何の対処策ももたらさなかったことが明確に理解できる。

さて、私たち日本の金融環境は正統派、異端の系譜どちらなのでしょうか?

私のアングルからいいますと「常識、非常識」どちらなのでしょうか?

視点を変えれば世界が変わる!

『21世紀の貨幣論』のつづきだ。「実際に手に触れることができて、腐ったり壊れたりしない通貨がマネーであり、その上に債権と債務という手品のような実体のない装置が作られているのだと、どうしても考えてしまいがちだ。だが、現実はその真逆である。譲渡可能な信用という社会的な技術こそが、基本的な力であり、マネーの原始概念なのである。」と記されている。

また、「マネーを見る視点が変わると、経済の世界の現実に対する理解は大きく変わる。」と。読者のみなさんは変わりましたか?

私はまったく、「非常識」な金融の世界を見ています!

ヤップ島の硬貨(石貨)「フェイ」

「通貨について、おそらく他のどの国よりも哲学的な思想を持つ人々がいることを私たちに教えてくれた。ヤップ島の慣行は現代の金本位制度よりも論理的であり、学ぶことは大いにある」と、ケインズは書いている。20世紀の最も偉大な経済学者がなぜ、ヤップ島のマネーシステムにこのような重要で普遍的な教訓を見いだしたのか、それが本書のテーマである、と書き出された書籍が先日ご紹介した『21世紀の貨幣論』である。著者の紹介には「本書が初の著作となる著者のフェリックス・マーティンは、オックスフォード大学で古典学、開発経済学、ジョンズ・ホプキンス大学で国際関係学を学んだ後、オックスフォード大学で経済学の博士号を取得した。」と記されている。その後、世界銀行に10年間にわたって勤務し、・・・と。訳者遠藤真美氏のあとがき文の一節である、「視点を変えるだけで、物事の見え方ががらりと変わることがある」と著者は語る。その言葉どおり、この本はまるで万華鏡のようだ。すばらしい紹介文だと思います。是非、お読みください!

マネーとは何か?

この問題は私のFP事務所の永遠のテーマだと思っています。ここで2冊の本をご紹介したいと思う。一つは『貨幣進化論』というものだ。これは3年ほど前に、私の名前を一字だけ替えた岩村充先生の記されたもので親近感があって手にしたものである。早稲田大学大学院商学研究科教授で、野口悠紀雄先生とともに「ビットコイン」などの話題にはマスコミにコメントを求められるその分野では著名な方なのだが、その当時からマネーの歴史に関心があり十分に参考になったことを覚えている。

もう一つは数日前に読んだ本で『21世紀の貨幣論』である。これを読むきっかけを与えてくれた方は増田丞美氏である。8年ほど前から「オプション」を勉強させていただいてる先生なのだが、「マネーの本質」を議論するとしたら圧倒的に後者のものが面白い。否、私たちは「マネーの常識と非常識」を考えるのであれば断然、後者を参考にしなければならないと思う。日本のおかれた金融、経済環境はこの見方がますます重要になってきていると思う。私はここにFPの立つ位置があると考えます。

 

思考経済とマネー

「部分の総和が全体に一致しない」という根本原理に沿う形の、もう一つの世界観を検討し直すことに軸足を移していかねばならないと長沼伸一郎氏は述べられている。

その際にあらためて重要になってくるのが「思考経済」という言葉であるまいかとも述べられている。これは「いかにして最小限の知識や情報を元に最大限の現象や事象を理解する」という考えのことなのだ。

過去1~2世紀にわたるわれわれの制度や習慣は「部分の総和が全体に一致する」ということを信じることの上に成り立ってきたのである、ところがその前提が崩れたとなると、その常識自体を見直すことが必要になってきてしまい、逆にこれまで二義的な扱いだった「簡略化」「総合化」「直観化」などということが、今までとは次元の異なるほどの意義を帯びてこざるを得ないだろうと考えられる。これらは長沼氏の著書「物理数学の直観的方法 」に記述されているものである。

まさにここに私が主張したい「常識」と「非常識」の考え方が論理的に証明されていることに驚きを禁じ得ない!

さあ!ブラック・ショールズ理論を直観的方法で「常識」と捉え、「非常識」な日本におけるマネーの世界を変革する時だと私は強く思うようになった。

オルタナティブ・ファクトとは嘘か?

今、話題の言葉に「オルタナティブ・ファクト」(もう一つの事実)というものが、トランプ大統領就任の折、注目されています。彼の言動があまりに奇怪に思われるので「嘘」だというイメージが先行しているきらいがあるようです。私はここでそのことの善し悪しを議論するつもりはありません。世の中には「もう一つの事実」は存在することは確かなことだと思うのです。以前、『ゼロ・トウ・ワン』の著者ピーター・ティールが述べている「隠れた真実」や『帳簿の世界史』のジェイコブ・ソールが語った「隠れた真実」としての帳簿の力(会計力)を発見することは大変、困難なことです。しかし、人類は科学の発達、「隠れた真実」の発見によって生活を豊かにしてきました。その歴史を学ぶことは物事の本質はどこにあるのかを知ることにつながるのです。

私たちは「金融工学」とか「デリバティブ商品」など、意味を理解できないものに対しては非常に敬遠する傾向があって、「隠れた真実」を探す努力をしようとしないのではないでしょうか? 「隠れた真実」、本質を理解することは意外に難しいことではないと直感的方法を説いておられる長沼伸一郎氏は述べられています。いわんや、今こそ、日本人にとっては教養としての経済数学が欠かせない時代になったことを強調されています。さあ、みなさん!「常識」に安住しないで「非常識」の世界に一歩、踏み込んでみましょう!「デリバティブ」は意外に馴染みやすい概念だと気付かれると思います。高校数学を再度、学び直しましょう!

数学と物理学の超入門書

私は物理と数学は科学の両輪で、永野先生が「物理・数学の繋がりを理解すれば、わかる楽しさは相乗効果を発揮する!」とおっしゃることは本当だと思います。

さて、そうは言っても数式だらけの専門書は読む気も起らないことも確かなことだと思いますので、以下の2冊をご紹介したいと思います。

2冊とも岩波新書で『零の発見』(吉田洋一著)、『物理学はいかに創られたか』(アインシュタイン・インフェルト著)

歴史的名著で数学・物理をまったくかじったことがない人にもお勧めできます。私のように高校数学・物理をもう一度がんばって理解しようという人の入門書になると思います。世界的著名人がこんなにもわかりやすく書いてくれていたのかと再発見し感動しましたので!!

私たち文系人間に、又もや福音書現る!!

前回の『経済数学の直感的方法』に引き続いてご紹介したい書籍が発刊されました。その著書名は『はじめての物理数学』(自然界を司る法則を数式で導く)、永野裕之先生のものです。両者とも微積分の重要性を主張されています。「微積分学を身に着けることが私たちの人生にもたらす恩恵ははかりしれない」(永野先生の言葉)。また、前著の著者長沼伸一郎氏の「世界史的に見ても、微積分の発見こそがこの300~400年で最大の事件だったことはほぼ間違いない」という言葉があります。今こそ、『金融リテラシー』の常識・非常識を気付くためにも金融数学の基礎を学びましょう!私は中高校のとき算数・数学が苦手で嫌でした。しかし、それでは世の中の見えてるところだけで生きる人生でいいのでしょうか?般若心経(人生を強く生きる101のヒント)の著者公方俊良先生の「常識を、能力を押さえつける重石にするな」の言葉のように「人が常識を放棄するとき、一つの新しい一層明瞭な認識と確信が生まれる」が如くに『金融リテラシー』を探求する努力を勇気をもって行いたいものです。ご紹介した二冊の本は私たちの福音書となるでしょう。

 

ブルーバックスから『経済数学の直観的方法』(確率・統計編) 著者長沼伸一郎氏の本が出た!!

これはまさに待ちに待った本の出現だ!私が長い間、理解に苦しんでいた「金融工学の難解理論」、ブラック・ショールズ方程式を直観的方法で解説する画期的な本である。そして、世の中を一つのアングルで斬るとしたら、『常識と非常識』のテーマで私は考えているのだが、著者長沼氏が言うように教養としてのブラック・ショールズ理論とすることが一般常識として必要であると言っておられることに共感するものです。1970年代発明されたものですので、かれこれ半世紀もたっていますので常識として受け入れる準備を私たちもするべきではないでしょうか?難しいとして敬遠するべきではありません。その意味でこの本は私たちが理解に苦しむところのツボを理系、文系両方からみたうえで解説してくれる親切な本なので非常に分かりやすい、否、分かったと言わしめるところがなんともにくい。是非、読まないともったいない本だと思います。