身の回りには、その変化についての観察しかできない現象がたくさんあります。私たちは、たった数十年しか生きられないし、それに、1つの現象の観察だけに一生を費やすわけにもいきません。したがって、短い時間内での観察結果から、将来どう推移するかを判断したり、過去がどうであったのかを推測したりする必要が生ずるでしょう。そういうときには、現在どう変化しているかを微分方程式に書き、それを積分して、その変化の結果、将来どう推移するかを計算しなければなりません。そういうわけですから、微分方程式は、物理学や化学の現象を解明するのに使われるばかりでなく、社会現象の解明などにも幅広い用途があるのだということをお話しして、微分方程式入門の結びとしましょう。
上記の文章は『微積分のはなし』(下)大村平著の引用文です。
もう1つの箇所を引用します。
このように複雑な、しかし、身の回りの現象としては、まことにありふれた現象を方程式に乗せて解明しようとすると、ほとんどが微分方程式になってしまいます。加減乗除の四則演算を中心とした代数方程式で表される現象は、私たちの目に触れ体に感ずるもののうち、ほんの限られた部分にすぎません。そういうわけですから、微分方程式は、私たちの実生活を解明するための数学の頂点である、といえるでしょう。微分方程式を使いこなすために微積分があると考えても、おかしくはないくらいです。
同じご本の引用文です。みなさんどう読まれましたか?
わたくしごとで恐縮ですが、「ヘウレーカ、ヘウレーカ!」の心境になった次第です。