12歳の少年が書いた量子力学の教科書

彼が「量子力学を自分のものにしてやろう」と決意したのは9歳のときだが、この頃物理だけではなく様々な学問に興味があったので、本を大量に読み漁っていたそうです。加えて幼少時代から自分の得た知識を他人に教えるのが好きだった。こうした読書好きと説明好きが高じて、次第に自分の本を書いてみたくなったいう動機が述べられています。

また、裏表紙にはこういうコメントが載っている。「10歳の頃には物理学の他にも天文学、歴史、哲学、文学、医学、論理学、経済学、法学などあらゆる学問分野の本を読み漁り(最盛期には年間3000冊)、最終的に量子力学が自分の目指す専門分野であると考えるに至った著者がこの書籍を執筆したのは12歳の時でした。独学で、本だけを頼りに量子力学に挑戦する上で「入門書は易し過ぎ、専門書は難し過ぎ」ということを感じ、その間を埋める、入門書と専門書の架け橋になるような本があればいい・・・という想いを実現したのが本書です。数式を追いながら読めればよいのですが、入門者の方がそこを飛ばして読んだとしても、「量子力学」に一歩迫ることのできる一冊です。」

私は入門者なので、もちろん、数式飛ばしの読書法を試みるしかできなかったのだが、彼の物事を理解しようという激しい情熱がこの本を誕生させたものに間違いはない。高校時代の文系、理数系や私立系、国立系などにクラス編成された教育に対する不満を述べていた自分を恥ずかしく思う。教育とは受動的なものではなく、能動的なもので自分でつかみ取っていくものであることを痛感させられました。

とにかく、生まれて12年でそこまで到達できるものかと驚かされます。この夏、怪談もいいでしょうが、あなたもこの本を手にして冷や汗をかかれてはどうでしょうか?

微分方程式2

身の回りには、その変化についての観察しかできない現象がたくさんあります。私たちは、たった数十年しか生きられないし、それに、1つの現象の観察だけに一生を費やすわけにもいきません。したがって、短い時間内での観察結果から、将来どう推移するかを判断したり、過去がどうであったのかを推測したりする必要が生ずるでしょう。そういうときには、現在どう変化しているかを微分方程式に書き、それを積分して、その変化の結果、将来どう推移するかを計算しなければなりません。そういうわけですから、微分方程式は、物理学や化学の現象を解明するのに使われるばかりでなく、社会現象の解明などにも幅広い用途があるのだということをお話しして、微分方程式入門の結びとしましょう。

上記の文章は『微積分のはなし』(下)大村平著の引用文です。

もう1つの箇所を引用します。

このように複雑な、しかし、身の回りの現象としては、まことにありふれた現象を方程式に乗せて解明しようとすると、ほとんどが微分方程式になってしまいます。加減乗除の四則演算を中心とした代数方程式で表される現象は、私たちの目に触れ体に感ずるもののうち、ほんの限られた部分にすぎません。そういうわけですから、微分方程式は、私たちの実生活を解明するための数学の頂点である、といえるでしょう。微分方程式を使いこなすために微積分があると考えても、おかしくはないくらいです。

同じご本の引用文です。みなさんどう読まれましたか?

わたくしごとで恐縮ですが、「ヘウレーカ、ヘウレーカ!」の心境になった次第です。

「複利」の微分方程式

ある瞬間の現在高に比例して利息が付加されていく場合の総額をx(t)で表わし、

dx/dt=ax

を解いてx(t)の変遷を明らかにすると(上記の微分方程式を解くと)、

xはe(ネイピア数)を底とするat乗の指数関数で表される。

ある物理量の変化率がその物理量の値に比例する現象は「複利」の話だけではなく、自然界には数多く存在するのです。

この変数xとtの関係を「貨幣の時間価値」として計算してくれる金融電卓は私たちに身近なものとして付き合うべきと思っております。