思考経済とマネー

「部分の総和が全体に一致しない」という根本原理に沿う形の、もう一つの世界観を検討し直すことに軸足を移していかねばならないと長沼伸一郎氏は述べられている。

その際にあらためて重要になってくるのが「思考経済」という言葉であるまいかとも述べられている。これは「いかにして最小限の知識や情報を元に最大限の現象や事象を理解する」という考えのことなのだ。

過去1~2世紀にわたるわれわれの制度や習慣は「部分の総和が全体に一致する」ということを信じることの上に成り立ってきたのである、ところがその前提が崩れたとなると、その常識自体を見直すことが必要になってきてしまい、逆にこれまで二義的な扱いだった「簡略化」「総合化」「直観化」などということが、今までとは次元の異なるほどの意義を帯びてこざるを得ないだろうと考えられる。これらは長沼氏の著書「物理数学の直観的方法 」に記述されているものである。

まさにここに私が主張したい「常識」と「非常識」の考え方が論理的に証明されていることに驚きを禁じ得ない!

さあ!ブラック・ショールズ理論を直観的方法で「常識」と捉え、「非常識」な日本におけるマネーの世界を変革する時だと私は強く思うようになった。

オルタナティブ・ファクトとは嘘か?

今、話題の言葉に「オルタナティブ・ファクト」(もう一つの事実)というものが、トランプ大統領就任の折、注目されています。彼の言動があまりに奇怪に思われるので「嘘」だというイメージが先行しているきらいがあるようです。私はここでそのことの善し悪しを議論するつもりはありません。世の中には「もう一つの事実」は存在することは確かなことだと思うのです。以前、『ゼロ・トウ・ワン』の著者ピーター・ティールが述べている「隠れた真実」や『帳簿の世界史』のジェイコブ・ソールが語った「隠れた真実」としての帳簿の力(会計力)を発見することは大変、困難なことです。しかし、人類は科学の発達、「隠れた真実」の発見によって生活を豊かにしてきました。その歴史を学ぶことは物事の本質はどこにあるのかを知ることにつながるのです。

私たちは「金融工学」とか「デリバティブ商品」など、意味を理解できないものに対しては非常に敬遠する傾向があって、「隠れた真実」を探す努力をしようとしないのではないでしょうか? 「隠れた真実」、本質を理解することは意外に難しいことではないと直感的方法を説いておられる長沼伸一郎氏は述べられています。いわんや、今こそ、日本人にとっては教養としての経済数学が欠かせない時代になったことを強調されています。さあ、みなさん!「常識」に安住しないで「非常識」の世界に一歩、踏み込んでみましょう!「デリバティブ」は意外に馴染みやすい概念だと気付かれると思います。高校数学を再度、学び直しましょう!