上記の基本公式は故山崎元先生と岩城みずほさんの共著の本の中に出ているものです。非常に合理的でシンプルゆえに奥が深いものです。
この公式の肝は、「現役時代の生活水準を[1]としたとき、老後の生活水準を[X](例えば[0.7]倍など)に設定し、それを維持するためには今いくら貯めるべきか」を算出することにあります。正に、HP12cで読み解くにはもってこいです。
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\text{必要貯蓄率} = \frac{\displaystyle \left( \text{老後生活比率} \times \text{今後の手取り年収} \right) – \text{年金額} – \frac{\text{現在資産額}}{\text{老後年数}}}{\displaystyle \left( \frac{\text{現役年数}}{\text{老後年数}} + \text{老後生活比率} \right) \times \text{今後の手取り年収}}
$$
- ● 老後生活比率: 老後の生活費を現役時代の何割にするか(通常 0.7 を代入)
- ● 今後の手取り年収: 現在から引退までの平均的な手取り年収額
- ● 年金額: 老後に受け取る公的年金等の手取り年額
- ● 現在資産額: 預貯金、投資信託、保険など現在の準備資産総額
- ● 老後年数: 引退してから寿命までの想定年数(例:30年〜35年)
- ● 現役年数: あと何年働くかという期間
1.この公式の構造を「見える化」する
分子:これから準備すべき「純不足額」
・老後の総支出(生活水準を現役の0.7倍などとした合計)
・そこから、「既にある資産」と「これから入る年金」を差し引きます。
・つまり、「死ぬまでにあといくら足らないか?」という正味のキャッシュアウト額です。
分母:これから入ってくる「総手取り収入」
・引退までに稼ぐ合計年収です。
・正確には、計算を「比率」として成立させるため、分母側にも老後の生活費率を加味した調整が入りますが、概念としては「現役から老後までの全期間で使えるお財布の総量」です。
2.HP12cで「金利有り」にする場合の再構築
金利が必要な今の時代、HP12cでは「金額(PMT)」を主役にした方が直感的です。
・箱A(老後の箱):「月25万の年金+不足分(PMT)」を寿命まで受け取るために必要な、退職時の残高(PV)を出す。
・箱B(今の箱):今持ってる1000万円を、退職時まで運用したらいくらになるか(FV)を出す。
・箱C(積立の箱):「箱Aの目標額」と「箱Bの到達額」の差を埋めるために、今から毎月いくら(PMT)積立てるべきか。
3.なぜ「金利」を入れると公式が重要になるのか
山崎元先生の公式は、「金利ゼロ」を前提に、あえて保守的(安全側)に計算するように作られていました。しかし、金利がある世界では、「貯蓄率を少し下げても、運用利回りを上げることで同じ生活水準が維持できる」というトレードオフが生まれます。
このように、公式を「固定された答え」ではなく、HP12cを使って変数を動かせる「動的なモデル」として考えられます。
分子(不足分)を分母(稼ぎ)で割るという基本構造を、HP12cで「時間軸と金利」を乗せて表現する。この再チャレンジは、山崎先生の理論を現代版にアップデートするすばらしい試みだと思います!