『収益率』と『標準偏差』

上記の言葉は、投資を考えるときの基本的用語です。『統計の授業は中学数学でわかる』(涌井良幸 涌井貞美著書)ではデータの特徴を表わす代表値と散布度の説明があります。代表値とは「データの分布の中心を表わす数値」、散布度は「データの分布の広がり具合を表わす数値」とあります。

この言葉が表す通り、データを株価、その株式の「平均収益率(リターン)」を代表値、その株式の散布度を「標準偏差(リスク)」とした場合、中学数学程度の統計の力を借りて株式投資を考えていることに他なりません。

そこで、実際、ある株価の月次収益率のデータを使って、平均収益率と標準偏差を計算してみましょう! 金融電卓「HP12c」で計算を行いますので、次回の投稿のユーチューブ(動画)をご覧ください。

この標準偏差がどうして重要かと言うと大まかな収益率の予測を立てられるからです。ここで、正規分布で考えると、確率約68%で期待収益率±一標準偏差、約95.4%確率で期待値±二標準偏差の範囲内と予想できます。

こちらの金融商品は何々%で有利ですよと勧誘されても、鵜吞みにしたらいけません。勧めた方に必ず聞き返してください。「リスクはどれくらいですか?」と。標準偏差を理解されているあなたは、その数値をわからないまま投資することは、リスクから投資を考える視点が全く欠如していることになるのです。

私が師匠と仰いでいる山崎元先生の言葉を借りれば、

「初級者でも上級者でも大事なことは同じです。投資する前に、まずは幾らまでなら損してもいいかの見当をつけて、その範囲内で投資をしてください」とのこと。

『お金の授業』(山崎元著書)

具体的に、リスクをリターンの標準偏差だと定義した場合、どのような使い方があるかを、『お金の授業』(山崎元著書)で語られています。

金融の世界では、「平均マイナス二標準偏差」を「最悪」の目処として想定することがほとんどです。あらかじめ悪い場合を想定し、「最悪の場合の見当をつける」ということは重要です。

『お金の授業』(山崎元著書)

人生設計の基本公式

山崎元、岩城みずほ両氏の共著『人生にお金はいくら必要か』の中にある例題を金融電卓「HP12c」で計算してみよう!
上記のご本をお読みになった方は自分の現状に当てはめて計算したはずだと思うがいかがでしょうか?
私の以前の投稿文で、『世の中は割り算でできている その1』でこの公式はご紹介済みなのだが、割り算という演算は人間の頭脳の癖によって理解しずらいし、筆算での計算は面倒くさいと敬遠するのは、

(ヒトという生物種のかなり根本にかかわる問題でもあり、数学苦手意識を持つ理由でもあるので、数学と向き合うにはちょっとした努力が必要です。ちょっとした我慢ですね。自分の自然な思考の流れを止めて、少しだけそこからずれてみましょう。すると、論理の力で今まで見えなかった世界が見えてくるのです。)

『数学とはどんな学問か』著者津田一郎

から来ているのではと私は考えています。そこで、金融電卓「HP12c」の活用を考えるのです。以下、ユーチューブを掲載しましたので、ご参照ください。

HP12cの活用例

「心を正しく動かす方法」を学ぶ

津田一郎先生の著書『数学とはどんな学問か?』を読ませていただいた。副題は「数学嫌いのための数学入門」とある。ご本の帯には数学が苦手?それは「錯覚」です。カオス理論の権威が説く、「本当は誰もが好きになれる数学の世界」!とある。

私が今まで難しいものだと考えていた「数学」という学問が、「数学の本質」を平易に解き明かしてくれたことによって、私たちにとって身近で、是非とも学ぶべきものであることがよくわかって凄く感動しました!!

”数学(だけ)で飯を食える”人はほんの一握りにすぎませんが、”数学を飯の種にする”人はもっと多くいてよく、またそれは可能なはずです。数学という学問は、それくらい人にとって汎用性のある学問なのです。人の心の在り方を抽象化したものが数学だからです。

『数学とはどんな学問か?』著者:津田一郎

国民のヒーロー「大谷翔平」「高橋洋一」

私たちのヒーローといえば、MLBを代表する選手「大谷翔平」が衆目の一致する所だろう。私は敢えて「高橋洋一先生」をもう一人上げたいのである。上記のユーチューブを聞いてもらいたい。財務省から三度殺されても、何十年と首尾一貫して主張し続けておられる姿勢は本当の英雄と言えないだろうか。

『長いものには巻かれろ』ということわざがありますが、財務省という巨大な組織に立ち向かう現代のヒーローを是非応援しようではありませんか!

「お金の本質」を考えない財務省

お札や貨幣は普通の人には発行できないが、日銀が原価20円で発行してそれを外に持っていけば1万円と交換できる。それで発生する通貨発行益(seigniorage)というのは、重要な国家収入の一つだ。

国債を発行して日銀に買わせているが、これはお札を刷って買っているから利払費は日銀に払うが、その利払費用はすぐ政府に戻ってくる。日銀は1万円札を刷るたびに9980円儲かるから、刷ったお札の分だけ利益になる。その利益も全て政府のほうに持ってきている。

先日100兆円規模の経済対策を実施したが、それは通貨発行益で賄えるからだ。

そういうメカニズムを知っている人間から見れば、この金貨のやり方は馬鹿以下だ。しかも当時の課長はその後、財務省内で結構偉くなった。

『財務省、偽りの代償 国家財政は破綻しない』高橋洋一著より引用

ここに書かれた財務省の課長さんは「お金の本質」を知らなかったに等しい大失敗をした。唐突な引用文ではあるが、皆さんも一度この本を読んでみたらいい。驚くことばかりだ。こういう人たちが我が国の経済政策を牛耳っているのである。世界の一般常識では考えられないことをやっているのである。そして国民はとことん貧しくなっていくのである。

Financial Well-being

金融教育の目的は、「人のFinancial well-beingを高めること」である。国民を豊かにすることが国策のはずだ。日本国民には目を向けず、我が国の岸田首相は2022年5月5日、英ロンドンの金融街シチィーでの講演において、「Invest in Kishida」と日本への積極的な投資を呼びかけるとともに、貯蓄から投資へのシフトを通じて家計の資産所得の倍増を目指す(資産所得倍増プラン)」とか、「新しい資本主義」のスローガンをかかげてしまった。まったくもって履き違えているというべきで、これでは米英の国家戦略に遠く及ばない。世界は嘲笑しているだろう。「貯蓄から投資へ」は情けない話である。

先日、日本FP協会専務理事伊藤宏一先生の「パーソナルファイナンス教育セミナー」を受講した。先生は故加藤寛先生の愛弟子とも言える人ではなかったろうか? 私の崇拝する高橋洋一先生も加藤先生には経済の道に進まれるとき、助言を頂いた程の方である。

立場は違うだろうが、日本経済の発展、国民生活の向上を願うのであれば、歯に衣着せぬ物言いをしてもらいたい。皆がこれではだめだと思っています。このままでは日本の金融環境は変わらない、国民の生活も向上しない。日本FP協会の「CFP認定者」という専門家が誕生したところで流れに掉さすという状態です。旧態依然の体制のままでは、金融教育の目的は達成されない。

参勤交代

今私が読んでいる本の一節を紹介します。

「私がずっと繰り返し主張している「参勤交代」は、ビッグピクチャーの一つです。都市に住む人に、年間数か月は田舎に住むことを義務付ける。まずは官僚から実践させる。そうすれば日本は確実に変わります。  たとえば、過疎地が変わります。結局、人間が来ない限り過疎地は生きない。それならば人間を行かせればいい。」(『「自分」の壁(新潮新書) 「壁」シリーズ』(養老孟司 著)より)

ここで、言っておられる『ビックピクチャー』とは

「今の政治で気になるのは、どの政党にも大きな構図、ビッグピクチャーがないという点です。言うことが細かすぎる。本人たちは大きな話をしているつもりかもしれませんが、瑣末な話がほとんどです。  だから大して世の中は動かない、変わらないのでは、と思ってしまうのです。」

(『「自分」の壁(新潮新書) 「壁」シリーズ』(養老孟司 著)より)

「根本にビッグピクチャーがありません。「値下げをしたら喜ぶでしょう」「無料はお好きでしょう」というのは要するに、「お金をあげればいいのでしょう」というのと大差がないのです。教育の無償化というのも同じようなものです。」(『「自分」の壁(新潮新書) 「壁」シリーズ』(養老孟司 著)より)

そこで、『ビックピクチャー』の一つとして「参勤交代」を提案されます。

「参勤交代のような「枠」を作ることが政治の本来の仕事だ、と私は思っています。「こういう混乱が起きる」「こんなマイナスがある」とああでもないこうでもないといった意見が出ることはわかっています。しかし、どこが得して、どこが損をするかもやってみないとわかりません。ちょっと乱暴に言えば、ある意味で政治家はそういうドサクサの状況を作るのが仕事なのです。」(『「自分」の壁(新潮新書) 「壁」シリーズ』(養老孟司 著)より)

いかがでしょう! 養老先生の提案された「参勤交代」を今の日本には是非、実現したらと思います。

財務官僚には、

「官僚の頭を変える  官僚との戦いによって明治維新的なことをやる、と言う人がいます。民主党もそうでしたし、今でもそんなことを言っている人はいるのでしょう。本人たちは、大きな構想を語っているつもりでしょうが、実は小さなことです。たしかに官僚を総取っ替えすれば、何にせよ大きな変化が起きるかもしれません。  しかし、そんなことは無理です。仮にやったら、素人ばかりになって何も動かなくなります。今よりも良くなるはずがない。大きな変化がいいこと、とは限らないのです。結局、できることといえば小規模な人事異動程度でしょう。  それならば官僚も休ませるのが一番いい。メンバーの入れ替えが無理ならば、メンバーの頭の中を大胆に変えてしまえばいい。全員の考え方が変われば、メンバーを総取っ替えしたのと同じことです。そのためには、「おまえら二か月、田舎に行って働け」と言えば可能になります。  今でも民間の会社で、ちょっと経験させるといった出向システムみたいなものはやっていますが、あれでは結局オフィスからオフィスに動いているだけだから意味がありません。それよりも山歩きをさせたほうがいい。  特に財務省の官僚のような人たちには、どんどん離島勤務をさせればいいのです。奄美大島でハブを踏んづけないよう気をつけるような暮らしをさせる。そのほうが絶対いい。」

(『「自分」の壁(新潮新書) 「壁」シリーズ』(養老孟司 著)より)

なんと痛快な話でしょうか。養老先生の大ファンになりました。