先物為替(為替の先物取引)

先物取引は、外国為替においてとくに重要である。日本の輸出入業者は為替変動リスクを為替の先物予約でカバーしている。

通貨の場合はドルの買建ては円の売建てであり、ドルの売建ては円の買建てであるので頭が混乱します。以下の具体例で考えてみましょう。

① 1ドル100円、1年物の円金利は2%、ドル金利は6%とする。1年先物のドルはいくらか。

「現物価格は先物価格を金利で割引いた額に等しい。」の原則を思い出してほしい。また、前日の記事にある、無裁定条件の先物理論値は為替変動率を金利として『TVM』メニューを使えば簡単に算出されます。では、やってみましょう。

ここで注意が必要なことは、上にも書きましたが、円を売ったことはドルを買ったことになりますので、どちらを基数にするかを考えます。ここでは円を基数にします。

1. 1.02【ENTER】1.06【Δ%】【i】を押して3.92という数値をストアする。

2. 1【n】100【FV】を押して割引いた額を出す準備をする。

3. 【PV】【CHS】を押して理論値96.23円が算出されました。

② ①と同じ状況で1年先物のドル・レートは100円であった。この時、どのような裁定取引が可能か

先物レートは理論値96.23円に比べてドル高円安、そこで、先物のドルを1ドル売建てる。1年後に売るためのドルをいま買う。1年間6%で運用するので、以下のドルだけ買えばよい。

1. 1【FV】6【i】1【n】を押してストアする。

2. 【PV】【CHS】を押すと、0.9434㌦が算出される。

このために必要な円、94.34円は金利2%で借入れる。1年後に1ドルを決済して100円を得る。円の元利合計96.23円(94.34×1.02)を返済するとネットで3.77円の儲けとなる。

以上は『証券アナリストのための数学再入門』(金子誠一著)を参考にしています。

 

 

eic1954

投稿者: eic1954

岩永FP事務所代表 一級ファイナンシャルプランニング技能士、 日本FP協会CFP認定者

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください