(収益率)
収益の効率性を表すのに便利なように、投資額の1円当たりの収益を表す量を使う、これを収益率という。
一般に、時間的、空間的にひろがりを表す量を「外延量」という。重さ、体積、時間、金額、投資金額、収益、人口、資本金などは外延量である。2つの外延量A、Bがあるとき、「量Bの単位当たりの量A」を「内包量」という。速さ、利率、人口増加率、失業率などは内包量である。
2つの外延量から内包量を求める計算が「割り算」である。
収益率も内包量の1つであり、収益を投資額で割って得られる。投資額の単位当たりに対する収益を表す量である。
(内部収益率)
現在価値PVと将来価値FVの間を結ぶのは、利率や収益率である。はじめに利率や収益率が外から与えられて、それを用いてPVとFVの関係が規程される。
これに対して、現在価値と将来価値が定まっていて、その間の関係を規定する率が計算の上から求められる場合がある。この場合には現在価値は投資額となり、将来価値は将来もたらされる収入となる。このような場合の率はいわば内部から定まる収益率であり、これを「内部収益率IRR」という。これの算出には、【TVM】メニューに【f】【IRR】キーが用意されている。
投資額と将来もたらされるキャッシュフローが与えられたとき、どのくらいの利率で運用したことに相当するかという場合の利率にほかならない。
あるいは、コストと回収リターンの現在価値が等しくなるような割引率といってもよい。
さらには、予想収益の現在価値を供給価格に等しくするような割引率として、ケインズの「資本の限界効率」とも等しい概念である。
複利計算による債券の利回りは実はここでいう内部収益率にほかならない。
以上は、『ファイナンス数学の基礎』(小林道正著)を引用しております。
【TVM】メニューにはわたしたちがイメージしづらい内包量の概念(割り算という数学)を理解する手助けをしてくれるという機能があるのです。