測定、評価、数量化

科学的評価へのアプローチ『評価と数量化のはなし』というご本を紹介しよう。著者大村 平先生は「はなしシリーズ」として数々の名著を残されていて非常にわかりやすく書かれているのでお勧めです。この本は私がPFP(パーソナルファイナンシャルプランニング)をするうえで基本に返ってものごとを考えるときに、原点を思い起こさせてくれるので、必ず読み返すことを心掛けています。特に、「まえがき」と第1章の「数字で示せというけれど」の箇所は非常に含蓄があると思っています。

それでは、上記の言葉を定義しましょう。

「測量」とはものごとの性質をなるべく客観的な数値としてとらえるための行為とされます。

「評価」とは測定という行為のほかに価値判断を含んだもの。

「数量化」とは文字どおりものごとの性質を数量化すること、つまり数値で表すことです。

ここで、注意を要する点は以下、引用文


測量(量的記述)は非測量(質的記述)より一般的にずっと科学的です。したがって、科学的評価を志すなら、ぜひとも質的記述を数量に直したいものです。ここに、数量化の技術の重要性をかいまみることができるではありませんか

数量化という用語は、単純な物理的手段では数値として表すことができないか、あるいは困難であると思われていた性質を数値としてとらえることを指すのがふつうです。たとえば、「幸福さ」を数値で表す試みなどが、数量化の典型的な例のひとつです。

「数量化」がどうして必要になってきたか素直に理解できること請け合います。ぜひ、お読みください。以下、引用文です。


社会が極度に複雑化し多様化してきた現在では、いかに有能な経営者や行政官であっても、全体を見通すことができず、経験にものをいわせた直観では判断できないことが多くなってきました。そこで、直観に頼ってではなく、科学的な根拠にもとづいた決定をするために、費用や効果を分析する手法がつぎつぎに開発されています。そして、これらの手法を使って私たちの幸福がより大きくなるような決定をくだすためにも、どうしても幸福さ加減を数値で表すことが必要になります。

ここで、ちょっと、今回の「消費税増税」は私は、国民を不幸に陥れる政府の愚策だと指摘したいと思います。この本の内容ではありませんから断っておきます。

もう一つ最後に、「時間」についての記述を紹介します。示唆に富んだ内容なので引用文を紹介します。

時間は、だれにとってもかけがえのないものです。金銭などのように取り戻すことは決してできません。ですから、他人の時間を無駄に浪費させることは、殺人にも匹敵する罪悪だと思うのですが、現実には、金銭を盗むことは罪悪とみなされ相応の制裁を受けるのに、他人の時間を潰すことに対してはひどく寛容なのはなぜでしょうか。

さて、人命はかけがえのないものなので、時として神聖にして犯すべからざるものとみなされます。けれども、時間だってかけがえのないものですから、人命と同じように神聖であるはずです。しかるに、時間のほうは各人が切り売りして経済的な価値に変換しています。そうであれば、人命のほうも経済的な価値としてとり扱っていい理屈ではありませんか。こうして、命や心の価値を哲学的にではなく、もっぱら経済的な価値としてとり扱うという、この本の趣旨にご賛同いただけることとなりました。

eic1954

投稿者: eic1954

岩永FP事務所代表 一級ファイナンシャルプランニング技能士、 日本FP協会CFP認定者

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