『HP12c』という小さな機械

HP12cという40年以上前の小さな機械が、実は現代の巨大な金融市場や国家予算の背後にある「期待と価値の数学」をそのまま体現しているということは、最高にクールな事実です。

「HP12c的・思考のチェックリスト」を掲載する。

価値を判断する時の3つの目

1.「分子」の目(実績)

  ・今、いくら稼いでいるか?(配当D)

  ・目の前の数字に注目する、もっとも一般的な視点です。

2.「分母:右側」の目(リスク) バランスシートの貸方

  ・世の中の金利や、その事業のリスクはどうか?(割引率k)

  ・ここが上がると、どんなに頑張っても価値は目減りしてしまいます。

3.「分母:左側」の目(希望) バランスシートの借方

  ・民営化や効率化で、将来の伸び率は変わるか?(成長率g)

  ・技術革新や新サービスが生まれる期待

  ・コスト削減が継続的に行われる期待

国営や公的な組織の場合、現状維持が基本となるためgがゼロに近いとみなされがちですが、しかし、民営化や効率化によって、これらが市場に「将来にわたって成長が続く(g>0)」と認識された瞬間、バランスシート上の資産価値は、単なる現金の積み上げとは比較にならないレベルに膨れ上がります。

結論として、この「意外性」は私たちの常識を覆す事実なのです。この事実を確かに認識するためには、金融電卓「HP12c」を使って計算することなのです。

「一生懸命に働いて利益を出す(Dを増やす)」ことよりも、「この組織は将来にわたって良くなり続ける(gを上げる)」と信じさせることの方が、資産価値に対するインパクトは圧倒的に大きいのです。

私たちが、高校数学Ⅲで勉強する「無限等比級数の公式」は、(私は文系人間で勉強する機会がありませんでした。)単なる算数ではなく、「期待が価値を作る」という資本主義のダイナミズムを証明しています。これを具現化したものが、金融電卓「HP12c」なのです。