「HP12c」という機械の「哲学」

HP12cのボタンを叩くとき、私たちは無意識に「すべての未来を『今』という一点に集約して評価している」ことになります。

下記に、数式を載せます。これは、HP12cのユーザーズガイドの付録に掲載されている、端日数がない場合のTVM(お金の時間価値)の基本計算式です。

\[0=PV+PMT\left[\frac{1-(1+i)^{-n}}{i}\right]+FV(1+i)^{-n}\]

この式の構成要素の意味

式は、大きく3つのパーツに分かれています。

  • PV(現在価値):そのままの価値です。
  • PMT(年金部分)の現在価値:\(\frac{1-(1+i)^{-n}}{i}\)という部分は「年金現価係数」と呼ばれます。毎回の支払い(PMT)が、トータルで今いくらの価値があるかを計算してます。
  • FV(将来価値)の現在価値:\(FV×(1+i)^{-n}\)は、将来のまとまった金額を、今の価値に割り戻したものです。

HP12cでの直観的なイメージ

HP12cのキー(n, i ,PV,PMT,FV)を使って計算しているとき、電卓の内部では常にこの式が動いています。

「無限等比級数の和」も、実はこの式の発展形です。n(期間)を無限大にしたときに、第3項(FV部分)はゼロに消え、第2項(PMT部分)の年金現価係数の分子部分が1になり、PV=PMT/iという、私たちが何度も計算した形に辿り着きます。

PMTの部分がシンプルに1/i に収束していく性質を利用したものです。

キャッシュフローの「翻訳」作業

この式は、時間のバラバラな地点で発生するお金を、すべて「今現在の価値」に翻訳しています。