今私が読んでいる本の一節を紹介します。
「各国国債の信用度は、それらの関わる「保険料」(CDS〔クレジット・デフォルト・スワップ〕レート=債権などの債務不履行のリスクを対象とした金融派生商品の取引レート)から算出される。危ない国債に対する「保険料」は高くなるはずだからだ。この「保険料」がもっともらしいのは、それがネット債務比率対GDPと、かなり(逆)相関の関係を持つことだ。これはファイナンス理論と整合的な結果である。 データをもとに試算をすれば、今後五年以内における日本の財政破綻の確率は「一%未満」だ。この予測が導かれる状況で、「このままでは財政が破綻する」と唱えるのは、降水確率一%未満の天気予報が出ているときに「雨が降るので外出は控えましょう」と言っているようなものだろう。 日本の財政破綻について言及する人たちは、よく「破綻のリスクがある」という言い方をする。「リスク」という表現は、もともと確率を前提としたものだ。だが、ほとんどの財政破綻論者は確率表現を用いることができず、感覚的に「リスク」という言葉を使っている。彼らの言うリスクとは、結局は「雰囲気」でしかない。」
(『ファクトに基づき、普遍を見出す 世界の正しい捉え方』(高橋 洋一 著)より)