【AMORT】キーを使う

「amortization」の略で「元本逓減」のことで、分割返済のローンなどで返済が進むにつれて残存元本が減少していくことを意味します。

住宅ローンや自動車ローンなどの返済計画表を作成する時には簡単に計算してくれます。

例 家を買うためにローンを検討しています。総額250,000ドルで年利5.25%、25年間の毎月月末返済で1,498.12ドルになります。最初の1年間の返済総額のうち、利息分と現金返済分を計算してください。

キー操作       ディスプレイ

5.25【g】【12÷】  0.44    iをストア

250000【PV】    250,000.00 PVをストア

1498.12【CHS】【PMT】-1,498.12  PMTをストア(現金支出なのでマイナス)

【g】【END】    -1,498.12  期末払いモードに指定

12【f】【AMORT】  -13,006.53 最初の一年間(12回)の利息合計。

【x><y】      -4,970.91    最初の一年間の元金返済分。

【RCL】【PV 】    245,029.09 一年間返済後の借入金残高。

【RCL] 【n】     12.00    返済済みの回数

 

定数計算2

定数計算1では計算結果(Xレジスタ)に定数を繰り返し掛けました。場合によっては、Xレジスタに新たな数値を入力して定数を掛けたり(あるいは足したり)したいことがあります。

このようなときは、まず【CLx】を押してから、新たな数値を入力して演算キーを押します。【CLx】を押してから新しい数値をXレジスタに入力して表示させてもスタックリフトはありません。

キー操作                                                ディスプレイ

4.38【ENTER】【ENTER】【ENTER】 4.38 定数を全てのレジスタに入れる

15                   15. 最初の個数をXレジスタ表示

【✖】                 65.70 15個入りの値段

【CLx】                75.表示をクリアし2番目の個数入力

【✖】                 328.50 75個入りの値段

【CLx】               250.表示をクリアし3番目の個数入力

【✖】                 1095.00 250個入りの値段

定数計算1

スタックリフトがあっても、Tレジスタの数値はそのまま残るので、この性質を利用して定数計算することができます。

定数をTレジスタに入れるには、まず定数を入力し(Xレジスタに入れ)てから【ENTER】を3回押します。この操作で、その定数が全てのレジスタに入ります。計算するたびに、最初に入力した定数がYレジスタにドロップしてきます。

キー操作              ディスプレイ

2【ENTER】【ENTER】【ENTER】 2.00   定数を全てのレジスタに保存

84000               84000.  初年度の売上をXレジスタ保存

【✖】               168000.00 翌年の売上

【✖】               336000.00 2年後の売上

【✖】               672000.00 3年後の売上

複雑な計算(RPNモード)

自動的にスタックリフトやスタックドロップをするようになっているので、操作の多い計算のときにも、他社の電卓のようにカッコを入力したり、中間結果を紙やメモリに保存する必要はありません。

実際にはどんな複雑な計算でも、4個のスタックレジスタだけで計算できるとは限りません。中間結果を計算のたびに数値を記録レジスタにストアしなくても済むようにするには、紙と鉛筆で筆算するときのように、カッコの内側から計算を始めて、順々にその外側を解くとよいでしょう。その方が少ないレジスタで計算できます。

HP12cPlatinum 金融電卓 日本語ユーザーズガイドより引用

LastXレジスタと【LSTx】キー

【+】、【-】、【✖】、【÷】などのキーを押すと、それまでのXレジスタの数値がLastXレジスタにコピーされます。

【g】【LSTx】を押すとスタックリフトして、LastXレジスタの数値をXレジスタにコピーして表示します。LastXレジスタの数値はそのままです。

日数計算と金融計算

日数計算に使う【DATE】、【ΔDYS】のキーや金融計算に使う【INT】、【n】、【i】、【PV】、【PMT】、【FV】、【NPV】、【IRR】のキーなどはXレジスタ、Yレジスタ、Zレジスタ、Tレジスタに前もって決まった項目がスタックされていますので、プログラム計算のように実行されますので簡単です。

二項演算とスタック

二項演算キー(【+】、【-】、【✖】、【÷】など)はXとYレジスタ内の両方の数値を使います。

四則演算は、まず筆算のときのように、ふたつの数をXとYレジスタに入れます。筆算で上に書く数はYレジスタに、下に書く数はXレジスタに入れます。その計算結果がXレジスタに入るので、Xレジスタの数値はLastXレジスタにコピーされ、スタックドロップが発生します。スタックドロップでは、Zレジスタの数値がYレジスタにコピーされ、Tレジスタの数値がZレジスタにコピーされますが、Tレジスタの数値は変化しません。

HP12cPlatinum 金融電卓 日本語ユーザーズガイドより引用

金利計算とcash flow diagram

どんな金利計算でも基本的事項をキャッシュフロー図(cash flow diagram)に描くことで把握するようにします。こうすると、時間の経過と現金の流れを図示することによってHP12cのキーとを対応させることが可能になります。

キャッシュフロー図は、まず横線(時間線:time lineと呼びます)を書きます。これは金融計算の全期間を表現するもので、複利の計算期間ごとに区切ります。たとえば6ヶ月間の月複利の場合は次の図のように描きます。

Ι———Ι———Ι———Ι————Ι————Ι————Ι

1            2            3             4              5                6

入出金は縦の矢印で表します。入金ならその時点で時間線から上向きに矢印(↑)を、逆に出金ならその時点で時間線から下向きに矢印(↓)を付けます。

キャッシュフロー図の中には、少なくともひとつの両方向の矢印があるはずです。キャッシュフロー図には受取利息は記入しませんので注意してください。

キャッシュフロー図に記入した数値は、電卓の上列の左端にある5個のキーに対応します。

以上はHP12cのユーザーガイドを参照

 

金融レジスタ

「前回に説明した「記憶レジスタ」以外に、金利計算用の数値を記憶させておくためのレジスタが5個用意されています。【n】、【i】、【PV】、【PMT】、【FV】と名付けてあります。

「金融レジスタ」は最上段の左側5個のキーを使って操作します。

このキーで、表示中の数値をそれぞれのレジスタにストアしたり、別の金融レジスタの数値を使って計算してからストアしたり、そのレジスタの数値を表示させる、あるいはその変数を求めるために使います。」

以上の文章はHP12cユーザーガイド参照。

皆さん、どうですか?たった5個のキー操作を覚えるだけで難しいと敬遠していた金融計算がいとも簡単にできることを実感して頂きたいと思います!

なぜ、こういう金融電卓が我が国日本では普及できなかったのでしょうか?不思議に思われないでしょうか?この答えを知りたいと考えたことが私のFPとしての原点だと思っています。

このいきさつを調べたい方がいらっしゃったら、2冊の書籍をご紹介したいと思います。1つ目が森平爽一郎先生の『物語で読み解くファイナンス入門』。もう1つが『HP12cによるときめきひらめき金融数学』です。これは法学博士の木村弘之亮先生のものです。

記憶レジスタを使う

当座預金勘定の計算をやってみましょう。

はじめに残高をレジスタにストアしておき、小切手を切ったとき、そのたびにレジスタとの直接四則演算をすればよいわけです。こうすれば操作が非常に簡単です。

キー操作       ディスプレイ

58.33【STO】0    58.33   はじめの残高をレジスタR0にストア。

22.95【STO】【ー】0    22.95  1枚目の小切手の金額をR0から引く。

この計算をしても表示している数値は

変わらないが、新しい答えがR0にストアされ

ている。

13.7【STO】【ー】0     13.70       2枚目の小切手の金額を引く。

10.14【STO】【ー】0  10.14           3枚目の小切手の金額を引く。

1053【STO】【+】0   1053.00  入金額を足す。

【RCL 】0                         1064.54       預金残高を見るためにR0の数値をリコール。

※【 】はキー表示です

※HP12C金融電卓 ユーザーズガイド参照

 

ここでのポイントは【STO】と【RCL 】というキーを使って計算を簡単にすることです。一般の電卓にはない『記憶レジスタ』を活用することによって定数計算ができます。